人事制度関連業務の方針立案

 

  人事評価制度が、他の人事制度や人事管理業務と関係していること
を既にお伝えしました。

 

 ここでは

 

 ◆職能(職務・職位)資格制度

 ◆賃金制度

 ◆人材育成・能力開発制度

 ◆就業管理

 ◆雇用政策

 ◆人事運用管理

 ◆福利厚生制度

 ◆総合人事制度・人事政策

 

 などの制度や政策と、どんな関係があるかを考え、以下に、簡単に
説明しています。

 

 なお、上の画像で示している、ヒアリングやアンケートの実施については、既に

 

 「人事制度の現状評価分析」で述べました。

 

  職能(職務・職位)資格制度と評価制度

 

   中小企業で、職能資格制度まで整備している例は少な

  いかもしれません。

  

   人事評価制度では、評価対象者を、職位(役職)や担
  当職務ごとに分類します。

 

   その分類に応じて、職務や責任の内容を決め、必要な
  能力の内容やレベルを資格として書き表したものが、

  「職能(職務・職位)資格制度」です。

   

 

   大枠でいくつかの資格に分け、その資格ごとに、等級
  や号俸で細かく分類し、この一つ一つに給与額を設定す

  ることで、<職能給>や<職務給>などとして「給与制度」
  「賃金制度」の規定に組み込みという流れになります。

   

   職能資格制度は、人事制度の軸の一つになります。

 

   初めから精緻で大掛かりな制度は必要ありません。

   

   ただ、昇進昇格などの人事管理業務や人材育成・能力開
  発などと直接関連するため、人事人材政策をまとめるに当

  たって、しっかり検討し、制定しておくと有益です。

 

   

   【人事評価制度の設計】のフェーズでテーマとしている

 

  「被評価者分類の設定」の部分が、職能資格制度の内容を

  構成していると言えます。

 

   こちらで確認してみてください。

 

 

 

賃金制度政策と評価制度

 

   人事評価制度は、何のために行うか?

    

   昇給や賞与の査定に用いるため。

    

   それが一番の目的、という場合が多いと思います。

 

   私は、「評価処遇制度」という表現を持ちますが、

  <処遇>には賃金(給料・賞与)だけでなく、昇進・昇格

         という人事管理業務も含みます。

 

          ただ、昇進・昇格も、結局<役職手当><職位手当>

         <職責給>や<職能給>に反映されますから、賃金制度

         と直結していると言えます。

 

    

          どういう評価・査定であれば、職能資格の等級や号俸

         がどう上がり(下がり)<職能給>がそれに応じてどう

         変わるか?

          どういう評価・査定ならば、賞与をどう決定するか?

 

          前者は、ある程度具体的に
         「人事評価制度」「職能資格制度」「賃金制度」の3つ

         の制度を連携させて決めておくことになります。

 

          後者の<賞与>の決定については、制度規定で、具体

         的に決めておく必要はありません。

 

          賞与や経営状態や経営政策、経営環境などにより年度

         ごとに方針を変更・設定し運用することがあっても良い

         からです。

 

    

               人材育成・能力開発制度と評価制度

 

  人事評価制度は、人材育成を進めながら経営計画を実現

 するためのもの

 

 と提案してきています。

 

           ただ、人事評価制度だけが意欲・能力開発のために用意

        され使われている、ということでは物足りません。

 

         いくつかの制度のつながりをもとに、人材育成と能力開

        発にどのように継続的に、仕組みとして結びつけるか?

 

         限られた予算や資源のなかで、どのように仕組化するか?

 

         人事制度導入・検討時には必ず議論・検討し、全社員に

        期待感をもってもらえる政策・方針をまとめましょう。

 

         ◆社内集合研修  ◆外部研修制度

        

        がその代表のように考えられがちですが、

 

         もっとも大切なのは、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレー

        ニング)

         日々の仕事を通しての、現場・現業における指導・訓練

        です。

 

         実は、人事評価制度の評価項目とその内容自体が、トレ

        ーニング課題、トレーニングプログラムになるものです。

         その項目を年間トレーニング課題としてスケジュール化

        することをお薦めします。

       
         上期や年間評価の結果によって、低い評価に終わった項

        目を重点トレーニング課題とし、OJTを強化する。

 

         このような結びつけ、連係がもっとも意義がある取り組

        みと言えます。

         

         日常業務を通じて、どのように自然に、ムリなく指導訓

        練を行うか。

 

         そのためのマニュアルやチェックリストなどの道具をを

        優先的に整備する計画も検討したいものです。

 

         また、会議やミーティングも教育の場・機会と位置付け

        ましょう。

 

         人事異動や配置転換による経験教育、昇進昇格によるキ

        ャリアアップも人材育成・能力開発の一種です。

 

         総合的に検討しましょう。

  

 就業管理と評価制度

 

 いうまでもなく、人事評価制度は<人>=社員について

評価するものです。

 

 ですから、その<評価項目>に、必ず勤務ぶりについて

の基本的な項目を入れるのが普通です。

 

 たとえば

 ・遅刻、欠勤、早退がない

 ・身だしなみ、服装などに関する規定を守っている

 ・必要な報告、連絡を怠らない

 

など、就業規則に定めている事項、服務規律をきちんと守

っているかどうかを評価します。

 

 私は、この種類の評価項目は、<就業管理>というくく

りで、全社員・全従業員に共通な評価区分・評価項目のグ

ループに入れて用いています。

 
 「勤務態度評価」という区分を設定し、そのなかで

 <規律性><責任性><協調性><自主性> 

 という評価項目を組み入れ、<規律性>でこの就業規則
の遵守度を評価する方式をとっている企業が多いかと思

います。

 (私は、こうした標準的な方法ではなく、その企業独

自で持っている、<経営理念><経営方針><行動指針>
などの内容から、望ましい態度・行動のモデルと言える

項目を、勤務態度評価に組み入れることをお薦めしてい

ます。

 

 ところで、どうでしょうか?

 長く勤務している社員や、行動の模範であるべき役職者

まで、こういう評価を必要とするでしょうか?

 

 実践してあたりまえ、実行しているから今の立場にある。

 

 そうですよね?

(意外にそうでもないことがあるので、困ったものですが)

 

 ですから、全社員に適用するのではなく、初級者クラス
に対してだけ評価項目に組み入れる。

 

 こういう運用法も提案しています。

 

 働くうえで守るべき就労上の決まりや罰則などは、
「就業規則」にうたっています。

 

 「就業規則」を守ることは必須ですから、人の質の基礎
的な要素を、企業文化や組織風土のように根付かせるため
に、人事評価制度の評価項目へ何らかの形で組み入れるこ
とは、検討すべきです。

  

  雇用政策と評価制度

 

 人事評価制度と雇用政策が直接関係することはあり

ません。

 

 ただ人事政策や人材政策を考えると、正社員・非正

規社員の雇用と定着・育成をどうするかが大切な課題

になります。

 

 現状の正社員の能力や意欲、定着度などを考え、人

事評価制度や人材育成・能力開発制度について検討す

る段階に入ることがあります。

 

 また、パートタイマーの構成比を高め、有効活用し

たい、という政策を進めることになれば、パートタイ

マー人事評価制度や賃金制度などの導入・改訂も必要

になります。

 

 パート雇用政策とつなげて評価処遇・育成制度を考

えます。

 

 

 中小企業においては比較的現実味をもった政策なの

で、この機会の分析と政策・方針化をお薦めします。

 

 また、障害者雇用と人事政策、外国人労働者雇用と
人事政策、高齢者再雇用と人事政策など

 いわゆる<ダイバーシティ>雇用政策への取り組み

も不可欠になっています。

 こうした観点から、緊急の課題ではないかもしれま
せんが、中長期視点での取り組みも検討しておくこと

をお薦めします。

 

            人事運用管理と評価制度

 

  人事異動、配置転換、昇進昇格など担当する仕事や

 所属する組織、担当責任の変更などの人事に関する業

 務を「人事運用管理」と呼ぶことにします。

  

  中小企業では、あまり配置転換は行われないかもし

          れません。

 

           昇進や昇格も、組織規模が小さくて、ポストが増え

          なければ人事運用管理として、評価制度結果を反映さ

          せる必要はありません。

 

           ただ、中小企業こそ多能化をめざす必要があります。

  

           そのためには、配置転換や職務変更などを計画的に

          行うことに意義があります。

  

           人事評価制度を用いて、指導・訓練とコミュニケー

          ションを根付かせていけば、人事運用管理を普段から

          行っている組織になっていきます。

 

           今まであまり考えてこなかった企業・事業において

          も検討されることをお薦めします。

 

 

福利厚生制度と評価制度

 

  こちらも直接人事評価制度とは無関係です。

 

  ですが、総合的な人事政策のなかで、<福利厚生制度>

 は地味ですが大切な課題です。

 

  とくに中小企業では、大企業との差が大きいのが一般的

          で、弱みでもあります。

 

           人事制度などに関する社員へのアンケートやヒアリング

          でもなにかしらの意見・要望が出てくるかもしれません。

 

           限られた予算のなかで、働きやすい職場環境創りや、社

          員が少しでも安心して働くことが出来、生きがいややりが

          いを持ち、また喜びを感じることができる特徴のある福利

          厚生制度を、現状や他社事例なども参考に、この機会に検

          討し、関心や信頼を得ることができるようになればと思い

          ます。

 

           知恵の出しどころです。

 

 

  総合人事制度・政策と評価制度

 

 種々の人事制度・政策を人事人材戦略・政策のなかで、

どのように整備し、運営・運用するか・・・。

 

 中小企業では、すこし重い経営課題かもしれません。

 

 かといってまったく不可能というわけでもありません。

 

 コストや人的な資源、時間など経営状況・財務体質な

どを確認しながら有効に手を打っていく・・・。

 

 実は社員数の少ない状況、事業規模が小さい段階でこ
そ、取り組む課題に期待される効果の大きさを客観的に
想定し、カイゼン・改革に取り組んで頂きたいと思いま
す。

 

 組織規模が小さく、従業員数が少ない段階から、人事
制度や人事政策を基本的な課題から設定し、取り組んで
いくのです。

 

 早くから、社員がお互いに同僚・部下・上司とのコミ

ュニケーションを当たり前にとり、当たり前に仕事の創

意工夫、作業の改善に取り組む。

 

 それらの態度・行動を誉め、奨励し、評価してあげる。

 

 そこから認められる知識・技術・技能の向上、意欲・

行動力も認めてあげる。当然のこととして・・・。

 

 人事に関することは、経営に関すること

 直接結びついていること です。

 

 組織規模・従業員規模・事業規模が大きくなり、コミュ

ニケーションがうまく取れなくなってきた、縦割りになり

自分のこと、自分の組織のことしか考えないようになって

きた。

 

 従業員の元気・活気が薄らいできた。

 

 そんな兆候や雰囲気、危機感を感じ始めたら、人事制度

と経営方針・経営計画の見直しをセットにして、カイゼン

改革を検討して頂きたいと思います。

 

 3か年くらいで実現・実行可能な制度・政策をまとめ、

取り組みましょう。日々の仕事を通じて、ムリなく。

 

 人事制度の方針の検討に入った今がチャンスです。

 

人事評価制度の方針決定と制定事例

 

  人事制度全体の方針検討を、関連する制
 度や業務の政策・方針の再検討と併せてこ
 こで行いました。

 

  その内容の一部は、人事評価制度の目的
 や方針に反映させましょう。

 

  制度方針は、「人事評価制度規程」の<総則>として表現

 することをお薦めしています。

 

  その規定事例を以下に挙げてみました。

 

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第1章 総 則


(目的)
第1条  本規定は、社員個々人が担当する職務・課業などの

         ① 職務価値 ② 能力 ③ その実行結果である業務実績・

   勤務態度などを 公正に評価して、経営人事業務に有効に活

         用することを目的とした「人事評価制度」の基本方針と実

         施運用方法について定めたものです。
 2.人事評価は、人的マネジメント業務(社員の評価、面接、

   指導、コミュニケーション、処遇、意欲付けなど)を通じ

   て、企業目的および経営目標の実現、業績向上に結びつけ

   るとともに、そのマネジメント・サイクルのプロセスと結

   果とを通じて、経営人事業務に関わる判断・意志決定(給

   与・賞与決定、昇進・昇格・降格、異動・配転、教育・研

   修・訓練など)に有機的に活用することを基本目的として

   実施します。

 

(基本方針)
第2条  当制度の対象となる社員が担当する業務と結果は、事業

   年度サイクルごと、およびその内容に変更があるごとに、

   社員・上司間および本制度所管部間で事前確認と評価を行

   います。
 2.具体的かつ実務的に評価を行うために、以下の事項を基本

   方針に定めます。
  1)年度社方針をベースに策定した部・課方針などの実行度、

    達成度を評価する「方針管理主義」
  2)年度方針・経営計画に基づき策定された各種年度予算・

    数値目標の達成度を評価する「業績評価主義」
  3)年初もしくは異動配転時に、各社員がその能力と期待に

    基づき担当する職務の内容と価値を明示・確認し、その

    遂行度・達成度を事業年度サイクルに基づき評価する

   「発揮能力・実績評価主義」
  4)社会人・組織人としての基本ルールを遵守することはも

    とより、企業間の競争力強化につながる高い意欲と創造

    性の保有度・発揮度を評価し、その開発を支援する

   「改善・改革・創造能力評価主義」

 

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  ここまでの作業で、いよいよ実際の制度の設計に入る準備が

 整いました。

 

私、大野晴夫がお手伝いします。
私、大野晴夫がお手伝いします。