人事評価制度:評価者の設定

 

 人事評価制度のもっとも難しい点は、人が人を評価することです。

 

 評価する人によって、見方・評価が違うのです。

 

 全員が自分の評価結果を納得する、ということはほとんどあり得

ない。そう言えるでしょうね。

 

 そこで、少しでも評価を公正に行い、評価内容・評価結果を納得

できるように、制度を設計し、運用するようにします。

 

 また、評価する立場の人たちに、その業務の重要性と方法をしっ

かりと理解してもらうよう、規定し、伝えます。

 

 このステップでは、評価する人を課題として、5つの課題を提案
します。

 

 

5-1 自己評価(本人評価)

 

 自分で自分を評価する。

 

「本人評価」=「自己評価」がない人事評価制度はあり得

ません。

 

 その前提として、自分の目標や課題を上司のアドバイス
を受けながら自分で設定する。

 

 これも人事評価制度の中に組み入れたい基本の一つです。

 

 それが、初期の間難しい場合は、少なくとも、事前に、

上司から部下へ、本人が担当する仕事・役割や身につけて

ほしい課題などを説明します。

 

 それらが評価項目に組み入れられることを理解してもら

い、取り組むことを目標にしてもらいます。

 

 与えられた仕事・課題の結果をまず自分で評価する。

 自分で立てた目標や課題の結果を、自分の考えていたレ

ベルと比べて評価する。

 

 評価期間が終わるまでの間に、その進み具合や実行度を

時々振り返りながら、自分で評価し、自分で工夫・努力し

て取り組んでみる。

 

 その取り組みと途中での上司とのコミュニケーションを

通じて、意識とスキルを向上させていきます。

 

 そしてその結果についてまとめの評価と反省を行い、上

司評価とすりあわせます。

 

 ただ評価される立場ではなく、自分はどうだったか自分

で自分を評価し、次にどうするか考える。

 

 ここにこそ人事評価制度の意図があります。

 

 

 人事評価は、一方的に上司から評価されて終りではなく、

本人参加の自己評価・本人評価から始まります。

 

 

5-2 一次評価者・二次評価者の設定

 

 組織・チームの部下メンバーの意欲と能力の向上を願い、それを支援するのが上司の責任・義務の一つ。

 

 上司として、部下メンバーの人事評価を行い、労をねぎらい、感謝の気持ちを伝え、一層の努力と貢献を願って激励する。

 

          これが人事評価制度の最大の目的です。

 

          もう一つが、上司自身が担当し、責任を持っている組織の

         目標を達成させること。

          そのために、メンバーの役割りを明確にし、その実行を支

         援すること。

          本人自身の目標の達成も、併せて支援すること。

 

          その進み具合と結果を評価し、活用するための上司評価で

         す。

 

          直属の上司が「一次評価者」です。

 

          その上司の上司が「二次評価者」となります。

 

          当然、一次評価者が常日頃、部下と接する機会が多く、二

         次評価者の方がその機会が少ないのが一般的です。

 

          ただし、上司の上司の方との仕事上での接点が実際には多

         く、直属上司よりも評価する立場とした方がよいと判断され

         る場合は、事前に制度所管部門に了解をとり、交替してもよ

         いでしょう。

 

          一般的には、二次評価者は、

 

         ◆一次評価者が評価を行う上で参考にしたい情報を得る

         ◆一次評価者の評価が、偏りなく、公正に行われるよう調整

          や助言を行う

         ◆複数の一次評価者間の評価で、公正さ公平性に問題がある

          と思われる場合は、調整し、評価者にフィードバックし、

          今後の評価が公正に行われるよう指導、助言する

 

         などの役割、責任をもっています。

 

          <自己=本人評価>→<一次評価>→<二次評価>

 

          この順で人事評価を進めます。

 

5-3 サポート評価者の指名・設定

 

 直属の上司が、すべてのチームメンバーの仕事の状況、

結果をきちんと把握し、評価するのが理想です。

 

 しかし、

 

 ・(部下)メンバー数が多い

 ・上司自身の担当業務領域が広く、部下のカバーが充

分できない
 ・担当組織の就業場所が複数あり、なかなかカバーで

きない

 ・休暇休業や勤務シフトなどの関係で、カバーできな

い勤務時間帯がある

 

 などの理由で、難しいこともあります。

 

 こういうことが想定される場合は、不十分な部分をカ

バーして評価してもらう担当者を<パートナー評価者>

として指名しておくことを推奨しています。

 

 そうすれば評価されるメンバーも安心するでしょうし、

信頼関係を補完できます。

 

 また<パートナー評価者>自身のトレーニングにもな

り、次のリーダー、マネジャー候補として、実務経験を

積むことができます。

 

 このパートナー評価者から、適宜報告を受け、必要な

らば、被評価者へのトレーニングや助言を依頼します。
 

 但し、評価の責任は、パートナー評価者になく、直属

の上司にあります。

 

 あくまでも参考にパートナー評価者の評価と意見を聴

き、一次評価者としての責任を果たします。

 

5-4 人事異動時の評価者と業務調整

 

 人事異動で、上司が替わったり、メンバーが他部門に異

動(転勤)になる。

 

 こういう場合の評価は、複数の組織での評価結果を在籍

期間の構成比に応じて配分するなどの調整を行うことにな

ります。

 

 ありうることなのですが、ちょっと面倒ですね。

 

 一方の在籍期間が極点に短い場合、その評価を省略する

という運用も可能と思います。

 

 いちおう、こういう場合の対応方法を「人事評価制度規

程」で規定しておきます。

 

 「異動配転時の評価については、評価者及び評価対象項

目など、制度所管部門が判断決定します。」

 

 こういう内容として、つど決めればよいと思います。

 

 このようなケースは、人事制度所管部門が、関係当事者

にどのように対応するか、伝えましょう。

 

5-5 多面評価の検討および設定

 

 「多面評価」をご存知でしょうか?

 

 「360度評価」と言う場合もあります。

 

 評価する立場の上司を、部下や他部門のメンバーが評価する制度です。

 

 目的は、

 

            上司の立場にある人を、自分の役割・責任を果たし

           ていると部下や関係する他部門のメンバーが評価する

           こと。

 

            そのことを通じて、人事評価で、上司評価が公正か、

           偏りがないか、納得度が高いかなどを確認する情報にな

           ります。

 

            多面評価結果を本人にフィードバックして、本人の成

           長やリーダー、マネジャーとしての在り方の改善につな

           げる。

 

            ここまで実行するのが理想であり、目的でもありま

           す。

 

            ただ、実際には、ここまで規定して実行する企業は少

           ないですね。

 

            いろいろ難しい点・事情はあります。

 

            この件については、別項でもう少し詳しく報告・提

           案したいと思います。

 

 

私、大野晴夫がお手伝いします。
私、大野晴夫がお手伝いします。