7.評価調整と評価ランク決定

 

 人事評価制度が、部レベルの大きな組織単位の中だけで実施され、

運用されるのでしたら、前のステップで課題とした<二次評価者>

段階での評価の調整で完了できます。

 

 しかし、複数の部があり、全社・全体で評価を決定する、評価結

果を反映させた<処遇>を決定する場合、少し、というか、かなり

というか、問題が発生します。

 

 異なる部(レベル)の間での評価の違い、公正さの欠如などが

どうしても起きがちで、放置できません。

 

 それらの問題があることをチェックし、より公正さを高めていく

ことは、人事評価制度所管部門と人事(評価)委員会などの責任で

もあります。

 

 実際には、全社・全体での評価調整を行うことになります。

 

 そのため、二次評価までの結果を全部収集し、評価結果と問題点

を、制度所管部門がチェック・整理し、二次評価者を招集します。

 

 そのミーティングを円滑に進めるために、どこをどう説明し、調

整作業、コミュニケーション作業を行うか、事前にシナリオを描い

たり、事前に個別に説明や調整提案などの根回しを行っておく、

 

 などの必要があるかもしれません。

 

 このステップの機能を理解し、評価制度運営・運用プロセスをよ

り具体的に理解してもらうために、4つのの課題について、提案し
ていきます。

 

7-1 評価調整の目的と目標

 

 人事評価の調整には、2つの段階があります。

 

 初めの調整は、二次評価者による一次評価の調整です。

 <二次評価>がそれです。

 

 その目的は、

 

           ■一次評価者の評価の修正提案 と

           ■担当・統括する組織内の一次評価者の間での甘辛の差

           や偏りなどの調整で、どちらも公正性を高めるためで

           す。

 

            どちらも、一次評価者と被評価者がその調整結果に納

           得してくれることが目標になります。

            100%満足することは難しいと思いますが。

            個別の評価項目の評価を問うのではなく、採点ランク

          (=査定)結果の特徴などをテーマにして行う調整です。

 

            たとえば、営業一部は、Sランク、Aランクが構成比

           20%、30%と高めで、営業二部が、Sランク5%、

           Aランク10% というように極端な違いがあった場合

           には、調整が必要になります。

 

            この場合、構成比が同じになるように指示するか、ど

           ちらかの評価を上げる、または下げるように指示する、

           するなどにより納得度が高まるように二次評価者が行い

           ます。

 

            この調整は、一次評価者の評価の仕方が経験を通じ

           て、他部門の一次評価者との比較や問題点の認識などを

           通じて、バラつきや偏りがなくなっていけば、必要性が

           下がっていきます。

 

            なお、構成比の問題を発生させないようにするため、

           制度規程で、組織内のランク構成比を一定に決めておく

           方法もあります。

 

            S10%、A20%、B40%、C20%、D10%

           、というふうにです。

 

            もう一つ大事な調整が残っています。

            全社・全体レベルでの調整です。

           

            複数の二次評価者間の評価結果の違い。

            すなわち、部レベルでの異なる組織を比較しての調整

           です。

           

            この調整は、評価結果を、昇給や賞与査定や昇進昇格

           の参考に用いることを制度に規定している場合に必要で

           す。

            二次評価者が、自分の組織の社員を意図的に高く評価

           していたり、反対に厳しく評価している。

            こんな場合、全体的には公正でないですから調整が必

           要です。

    

            

            この調整は、評価制度を管理する人事部門が主体に行

           います。

 

            あるいは、二次評価者が集まり、人事部門の主導で話

           し合って調整する。

            役員会で調整する、などの方法もあります。  

 

            初めはこういう問題が発生するでしょうが、運用して

           いきながら、問題の内容や原因を関係者が理解し、

           評価の公正さ、納得度をあげ、制度の信頼度を高めてい

           くことに意義があると思います。

 

 

7-2 調整必要理由と調整のポイント

 

 二次評価者が、一次評価の結果を調整する場合の注意

点をあげます。

 

 もともと、評価項目ごとに、二次評価者が把握してい

ない項目は、一次評価者の評価を認めるべきです。

 

 自分が、掌握し、一次評価者が認識していない・把握

仕切れていないと思う項目についてまず調整・修正しま

す。

 

 また、十分掌握していないけれども、評価の傾向が極

端に良かったり、悪かったり、などの偏りや、部下への

姿勢に好き嫌いなどの傾向がはっきり出ていた場合にも

調整が必要になります。

 

 こうした場合、両者が納得いくよう一次評価者と個別

に話し合い、必要に応じ指導します。

 

 個別の評価項目の評価差については、一次評価者に、

事実に基づいた話をし、意見交換して、調整します。

 その結果、一次評価者の評価を尊重することになる場

合もあっていいわけです。

 

 

 もう一つ。

 異なる組織の一次評価者間で、納得できない、信頼で

きない評価の違いが発生した時。

 

 特定の一次評価者の評価に問題があった場合は、その

評価者と個別に話し合い、調整すればいいでしょう。

 

 複数の一次評価者に問題ありと思えた場合、集まって

もらい、それぞれの評価結果を公開して、お互いに問題

点や主張を検討する。

 

 こうして調整を行う方が、初めは面倒で、心配かもし

れませんが、有効と思います。

 

 こうした調整を行うことも、制度規程に盛り込んでお

きます。

 

7-3 調整後評価ランク決定(査定)

 

 二次評価での評価調整が終われば、ひとり一人、S、A、B、C、D という評価ランクを決定します。

 

 先に述べたように、

 

■評価ランクの基づいて、それぞれ何パーセントずつ配分するか予め決めておく方法  と

 

           ■評価ランク順に、点数の幅を決めておき、評価調整結

           果の点数に基づいて、ランクを決める方法があります。

 

            私は、導入時には前者をお薦し、制度が安定期に入れ

           ば、後者へ移行してもいいのでは、と思っています。

 

            ただ、少人数の規模の場合、この構成比を決めてもそ

           れに準じた人数に満たない場合もあります。

            柔軟に対応して良いと思います。

 

            また、人事部門や全体評価調整機関(査定決定機関)

           で全社レベルの調整を行った場合、二次評価での調整と

           異なる査定になることもありえます。

            こちらが採用されます。

 

            この事情は、一次評価者と被評価者に面談の際に伝え

           る必要があります。

 

7-4 評価調整結果のまとめ

 

 評価の調整を行う場合の一番の問題は、

 

 修正された評価者が納得するかどうか、です。

 

 一次評価者と二次評価者との調整については、両者の

評価の違いの内容と原因・理由を誠実に説明しましょう。

 

 もしかしたら一次評価者=上司と部下との信頼関係に

マイナスになるかもしれませんが、意識付け、動機付け

につながるよう、率直に話し合いましょう。

 

 上司もその上の上司も、しっかり自分のことを見てく

れている、気にかけてくれている、ということをまずわ

かってもらうことも大切と思います。

 

 一次評価者と二次評価者の評価の違いや、偏り・公正

さの欠如などどんな問題があったか、どう調整したかな

どは、報告書として人事部門に提出してもらうようにし

ます。

 

 一次評価者の育成に利用でき、評価者研修の材料にも

すべきです。

 

 また、二次評価者間の調整の内容・結果・問題点につ

いても、人事部門が整理し、報告書としてまとめます。

 

 二次評価者の適性について触れることになるかもしれ

ません。

 

 その結果、どんな問題、どんな影響があったか、など

を記録し、活用してていけば、同じ判断基準、評価基準

で、しっかり評価できる体質、文化が形成されていくと

思います。

 

私、大野晴夫がお手伝いします。
私、大野晴夫がお手伝いします。